採用動画を外部パートナーへ発注する際、発注側がどこまで準備・管理できるかが成果を大きく左右します。ここでは、実際に起こった社員インタビューの失敗事例を「 発注者の落とし穴 」という観点で整理し、再発防止の具体策を示します。次回の発注チェックリストとしてご活用ください。
失敗事例1 質問設計を制作会社に丸投げ → 抽象的な回答だらけ
よくある発注側の落とし穴 | 結果生じるリスク |
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「自由に魅力を引き出してほしい」とだけ伝えて終わり | ▸ 抽象的なインタビュー素材しか撮れず、編集しても訴求力が弱い▸ 追加撮影が発生=コスト & 納期延長 |
発注側チェックポイント
- キーメッセージを3つに絞る(例:成長速度/チームワーク/働きやすさ)。
- 社員別プリインタビューシートを作成し、具体的エピソードを事前回収。
- 質問リストを制作会社と共同でブラッシュアップし、撮影当日に迷わない体制を整備。
失敗事例2 社内調整不足で“カメラ慣れゼロ”の社員を当日アサイン
よくある発注側の落とし穴 | 結果生じるリスク |
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上長の推薦だけで出演者を決め、本人には直前に出演連絡 | ▸ 緊張で棒読み・早口・無表情▸ カット割りが細かくなり編集負荷UP=費用増 |
発注側チェックポイント
- 出演候補へ2週間前に正式依頼し、メディアトレーニング日を確保。
- ウォームアップ撮影(スマホで模擬インタビュー)を実施し、本人の改善点をフィードバック。
- 撮影当日はリラックス担当者を帯同(同僚・人事)し、自然体を引き出す。
失敗事例3 ロケハン省略 → ノイズ&逆光で使えない素材に
よくある発注側の落とし穴 | 結果生じるリスク |
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「社内会議室なら十分」と事前下見を省き、詳細な環境情報を制作会社へ渡さない | ▸ 空調・外部騒音が入り音声NG▸ 窓際逆光で顔が暗い/フリッカー発生▸ 急きょ会場変更=タイムチャージ追加 |
発注側チェックポイント
- 撮影1週間前までにロケハン実施(照度・騒音・電源をチェック)。
- レイアウト案と写真を制作会社へ共有し、必要機材を確定。
- バックアップ会場を同時押さえし、環境不良時の再撮コストを防止。
失敗事例4 校正&承認フローが曖昧 → 誤字・役職ミスが大量発生
よくある発注側の落とし穴 | 結果生じるリスク |
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「テロップは制作側で直してくれるだろう」と社内確認を軽視 | ▸ 役職表記違い・誤字・古いロゴ使用▸ 公開直前の修正依頼→再レンダリング費用/納期遅延 |
発注側チェックポイント
- テロップ原稿を人事・広報・出演者の3者で校正。
- 承認ステップと締切をガントチャート化し、「誰が/いつ」チェックするか明確化。
- ブランドガイドライン(ロゴ・カラー・書体)を制作会社へ渡し、誤用を防止。
失敗事例5 法務・コンプライアンス確認を後回し → NGワードで公開停止
よくある発注側の落とし穴 | 結果生じるリスク |
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「完成後にまとめてチェックすればいい」と法務レビューが最終段階 | ▸ ハラスメントと受け取れる表現、顧客名の無断表示などが発覚▸ 公開延期・差替え費用・炎上リスク |
発注側チェックポイント
- ラフ編集の段階で法務レビューを通し、NG箇所を早期把握。
- AI文字起こし+NGリスト自動照合で見落とし防止。
- 修正テンプレート(モザイク・ビープ音・カット編集)を制作会社と共有し、迅速な差替えに備える。
発注側・最終チェックリスト
フェーズ | 必須アクション |
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企画 | ▢ キーメッセージ3本決定 ▢ 質問リスト共有 |
社内調整 | ▢ 出演者確定 ▢ メディアトレーニング日程確保 |
ロケハン | ▢ 照度・騒音チェック ▢ 代替会場予約 |
編集 | ▢ テロップ校正3者確認 ▢ ブランドガイド適用 |
法務 | ▢ ラフ段階でレビュー ▢ NGワード自動チェック |
まとめ
採用動画の社員インタビューは、制作パートナーを選ぶこと以上に、発注側の準備と管理体制が成功の分岐点になります。
- 目的・メッセージを先に固める
- 出演者の準備時間と環境を確保する
- チェックフローを文書化し、社内の誰が責任を持つか明確化する
これらを徹底すれば、費用対効果の高い動画が実現し、求職者に“リアルな魅力”を伝えられます。発注者として主導権を握り、制作会社と二人三脚で質の高い採用動画を完成させましょう。